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放送真っ最中!「相棒」シーズン16最速!?レビュー ブログ出張編 第五話「手巾(ハンケチ)」

風狂ブログを読んでくださっているみなさん、こんばんは!荒岸来穂です。今週も今日(1115日)放送された「相棒」レビューをしていきたいと思います。

 

先週のブログで先輩たちが連載をほったらかしていることをネタにしたところ先輩から連絡来ました。さすがに調子乗りすぎたかな……と思ったら

 

「クイーンと日高屋亡き後の連載は任せた!」

 

 いや、続けてくださいよ。何勝手に殺してるんですか

 第一この連載、1123日(木)の文学フリマで発売する新刊「風狂通信4.5号」の「相棒特集」を宣伝するために始めたんですからそんなに長くはやらないですよ。なのでたぶん来週が最後かな?気が向いたらもう少し延長します。

 それでは早速レビューの方に移りましょう。今日はシーズン165話「手巾(ハンケチ)」です。脚本家は浜田秀哉さん。

 

 警察学校で教官を務めている元鑑識の米沢から特命係に連絡が入る。警察学校内でベテラン教官である樋口がテラスから転落、意識不明の重体になっていた。事故か事件か分からないが特命係は捜査に乗り出す。樋口の入院先で娘で所轄の刑事である真紀に遭遇するが、現在伊丹らとともにが捜査をしている変死事件に進展があったとして重体の父親を尻目に去ってしまう。真紀を怪しむ冠城は警察学校内での聞き込みを行い、樋口が転落する直前に真紀と会っていたことが判明する。一方伊丹らが追っている事件に興味を持った右京は樋口が刑事時代に関わった事件が現在の事件と似ていることに気づく。二つの事件と過去の事件の関係は……?

 

 今回の話、良い意味でオーソドックスな「相棒」だったのでは?もともと「相棒を初めて見る人のためのガイドブックを作ろう!」というアイディアのもとに企画されたのが今回の相棒特集だったので、このタイミングでこういう話をやってもらえるとこちらとしてはありがたいですね!

 じゃあどのあたりが初心者向けなのか。まずキャラごとの掛け合いがしっかりしていておもしろい。相棒レギュラーはほとんど登場していたんじゃないかな、今回。それで伊丹さん、芹沢さんは反発しながらも捜査協力したり、中園参事官と内村刑事部長は特命係を目の敵にしながらいつもの責任の押し付け合いをしていたり(中園参事官が内村刑事部長に右京さんのモノマネをして一瞬だけ歯向かうシーンが今回の白眉だと思います)と、それぞれのキャラの立ち位置がしっかり分かるような描かれ方をしていますね。

 あと樋口の警察学校での教え子だった冠城と青木が樋口によって評価されていたり、この二人でモンタージュ作るときのやり取りで意外な性格が明らかになったりするなど二人のキャラがちょっと深まったような気がします。

 ただキャラのことについては一点だけ文句を。米沢さん、最初の5分だけしか出てこないじゃん。予告で出てきたから結構活躍期待していたのに……。前日にシーズン13米沢守最後の挨拶」の再放送してメインで登場すると思わせるの、これ詐欺でしょ

 

 気を取り直して初心者におすすめの理由その二。それは「相棒」らしい刑事ドラマだったことです。これは個人的見解ですが、「相棒」が警察内部の話をするときって「刑事としてのプライド」と「警察内に潜む闇」の激突という構図が多いと思うんです。しかも過去の事件が現在の事件と関係していたりすることもしばしば。今回もまさしくその通りでしたね。刑事としての「矜持」がこういう話の見所ですが、今回はそれをタイトルの「手巾(ハンケチ)」で表していましたね。最後の右京さんの「警察官をなめるんじゃない!」というセリフも刑事の矜持が感じられてよかったです。

 

 ミステリとしては最後の謎解きよりも捜査の時点でほとんど事件の構図を明らかになってしまうのでちょっと物足りない感じもするから飛びぬけて面白い!とは言えないですけど安定しているので「良い意味でオーソドックス」という評価を下しました。入門向けということでどうでしょう。

 

 ところで今回の脚本を書いた浜田さんは「相棒」の脚本は初めてみたいですね。初めてとは思えないほど「相棒」の勘所、というか型はしっかり押さえているという印象を受けました。

 昔、ある先輩が「最近の「相棒」は昔たくさん書いていた脚本家はほとんど書いてないし、新しい脚本家ばかりだから最早二次創作なのでは?」と言って最近の「相棒」を批判していましたが、でも僕は今回の作品は「二次創作」かもしれないけど今までの「相棒」をしっかりサンプリングしていてそのおかげで出来がよかった、という風に思っているので「二次創作」でもいいんじゃないかなと感じました。「型」が出来てない状態で変にオリジナリティ出されるよりはいいかな、という考えですね。浜田さんはこの一作でちゃんと「型」が出来ていることがわかったので、次書くとすれば今度は逆にどのようにオリジナリティを出すかなと注目しています。というわけで浜田さんはぜひ脚本陣に加わってほしいですね

 

 さて次回はみんな大好き(?)大河内さんが法廷に立たされるようですね。ここ最近存在感を増してきた衣笠副総監も出てくるようなのでそこも要チェックです。それではまた来週。