半可通のスターウォーズファンが「フォースの覚醒」を観て考えた事──第三回 J・Jの野蛮
あらすじ
半可通の
STAR
WARS
ファンが「フォースの覚醒」を観て考えた事
Issue VI
UPTURN OF THE JJ
風狂殺人倶楽部の石井は、
「フォースの覚醒」の感想と旧三部作の魅力を伝えるべく
スターウォーズシリーズの三部作構成に倣った、
長大な原稿の執筆へと向かった。
劇中では、新共和国の知らぬ間に
ファースト・オーダーは新たな超兵器を開発していた。
それはあの初代・第二デス・スターを
遥かに上回るどころではない性能だという事を得意気に説明した。
この究極兵器に済むカイロ・レンきゅんは
一見ダース・ヴェイダーっぽいけどゴミメンタルな中二病で
ちょっとした事でもすぐ物に当ってしまうし、
女の子の話になると人間にも暴力を振うのだった……
第一回: fukyo-murder.hatenablog.com
第二回: fukyo-murder.hatenablog.com
帰って来たヤヴィンの戦い:そして一大決戦へ
免責事項:以下、本編とエピソード4のおおまかな展開を割っています。御注意
続きを読む半可通のスターウォーズファンが「フォースの覚醒」を観て考えた事──第二回 旧作の踏襲
あらすじ
半可通の
STAR
WARS
ファンが「フォースの覚醒」を観て考えた事
Issue V
THE ENTIRE STORY'S BACK
厄介なファンにとって試練の時だった。
新三部作から10年が経ちながらも
ディズニーはルーカス・フィルムを買収し、
スターウォーズの完全新作の製作を余儀なくさせた。
恐るべき現代の技術を用いた
J・J・エイブラムス率いる新製作陣は
実寸大のミレニアム・ファルコンを用い
新たな映画を撮影した。
スターウォーズに執念を燃やす
風狂殺人倶楽部の石井は
戦々恐々としつつ劇場へと向かい、
フォースの覚醒を目の当たりにするのであった……
第一回:
そして覚醒へ
半可通のスターウォーズファンを自認する石井が、「フォースの覚醒」について語るフリをして旧三部作の話をしていこうというこの連載、とうとう本編に入ろうと思います。
さて、もう何日か忘れましたけど、2015年の12月中頃、遂にエピソード7「フォースの覚醒」が公開されてお前はどうしたのかという話ですが、修論やら何やらに追われていたので、封切りすぐには観にいけず、帰省してから旧三部作を見直した後、家族と一緒に観に行きました。 12月24日の木曜日でした。今こうして書いて気付きましたけど、これクリスマス・イヴですね。
そのクリスマス・イヴに石井が何を観、何を感じたのか──だいたい時系列に沿って「フォースの覚醒」の感想を語っていきましょうか。
免責事項:以下、本編とエピソード4のおおまかな展開を割っています。御注意
続きを読む半可通のスターウォーズファンが「フォースの覚醒」を観て考えた事──第一回 新たなる三部作
という訳で、何だか大分旬を逸してしまったような感じがするんですが、『フォースの覚醒』についてちょっと語ってみようというような記事です。 まず最初にお前はスターウォーズの何なんだという話ですけど、何なんだというほどの者ではなくって、物心つく前から親にスターウォーズ旧三部作を観せて育てられた程度の、血中濃度の1割がスターウォーズで残り9割がスティーヴ・ジョブズみたいな、まあ比較的平均的な人間の血が流れている、何処にでもいるおじさんです。
……で、実はこれは第二稿なんですけど、第一稿をどうして没にしたのかというと、なんかエピソード7の記事の筈なのに、気付いたらエピソード4のあらすじを8000字弱書いていたんですね。 いや、以下でも触れるんですけど、エピソード7はエピソード4の構造をかなり意識的に踏襲・引っくり返して創られてる所があるので、まあ4の話したくなっちゃうのは仕方ない所があるんです。っていうか、以下では耳にタコが出来るほどエピソード4の話をします。ごめんなさい。 それでも多分人間としては標準的でもどうやら何かどこかで間違えた感じがするので、どうやら自分は面倒臭いスターウォーズおじさんと呼ばれる人間であるらしい、というような感じがマザマザと悟られてきたので、以下の文章では、一応「面倒臭いスターウォーズおじさん」が『フォースの覚醒』を見て感じ考えた事について書かれていると思って貰えればいいかと思います。 といっても、ガチ勢よりはずいぶん緩くて、スピンオフの小説とか、あとはクローン大戦を描いたアニメ版とかはちゃんと追えてないといった程度の、思い出した時にめんどうくさくなるタイプのおじさんですね。 まあ、生半可なおじさんが一番性質悪いとかいう話がありますが、しったこっちゃねーよ。
俺のフォースが覚醒するまで
そもそも、このエピソード7『フォースの覚醒』が公開されるぞと聴いた時って、めちゃくちゃ複雑な心中だったんですよね。
というのも、先述の通り私は両親にいわゆる〈旧三部作〉、つまりエピソード4「新たなる希望」、5「帝国の逆襲」、6「ジェダイの帰還」という一番最初に公開されたエピソード群を何度も何度も繰り返し観せられて育って来たんですね。 それこそ親が新年会を開く度に「2001年宇宙の旅」と一緒に観る*1、くらいな感じで。 いうなれば、脳内にインプリントされているといっていいもう一つの心のふるさとな訳で、幼い頃はC-3POとR2-D2の声つき貯金箱で遊んだり、布団に潜ってはスターウォーズごっこをしていた訳です。
これらが公開されたのは、私が生まれる遠い昔で、さながら遥か彼方の銀河系での出来事であった訳なんですが、これから二十年近く経ってから、私が小中学生くらいの時に、旧三部作の前日譚を描いた〈新三部作〉の製作が決定された訳です。 これはもう観ない訳にいくまい!ということで、エピソード1「ファントム・メナス」は、確か旅行先のアメリカで両親と観ました。
現代の技術で格段にアップした映像のキレ、手に汗握るポッドレース、鮮烈に描き出されるライト・セーバー戦! 幼な心にとてもわくわくしたのを覚えてます。
その後も、2「クローンの攻撃」、3「シスの復讐」が次々と公開されていったんですね。
……で。
でも……こうなんというか、それがあんまりピンと来なかったんですね。 ロマンス描写がこう、旧三部作の戦いの中で育まれていく躍動的なものというよりは寧ろ、ベタベタのゴテゴテのロマンスで。 シスの暗黒卿、ダース・シディアスが折角の戦闘シーンで、一発逆転のとどめを刺すときに急に「ぱわ〜〜〜〜!」とか叫び出したり。 オビ=ワンが終盤で急に「共和国の平和は!」とか合衆国の愛国者みたいな事叫び出すし。 正直、スターウォーズに求めている物と、何だか違う……というものだった訳です。
勿論、悪くはなかったんですよ。 現代の技術で描かれる戦闘シーンは壮麗だし(うるさいファンなので「画面明るすぎ💢 もっと暗くして💢」とかいっちゃうけど)、ポッドレースのシーンなんかもスリリングでいいし、ライト・セーバー戦も趣向が変わっていて面白いし、後から張られた〈伏線〉を拾っていったりするのも楽しいし。 旧三部作ではあんなにヨボヨボだったヨーダが、縦横無尽に跳ね回ってシディアスと闘うシーンなんて感動しましたよ。
それでも、心の中に持っていた「ぼくのスターウォーズ」とは、何か合致しなかったんですね。 九部作構成らしいし、ってことはまだこのあと続けるの……?ルーカス大丈夫……?という気すらしていた。 なので、新三部作が完結した後、なんかもう監督のルーカスは飽きて続き創る気ないらしい、という事を聞いて、「うん、それでいいよ……」という気分で、完全に終わったつもりになっていたんですね。
……から、十年経って。十年経って続編製作決定!!ですよ。
しかもウォールト・ディズニーで。
えっていうことは何!?あの「デンデン!デンデン!デ〜ン、デンデン!パッパカパーンぱかぱかぱぱんぱかぱかぱかぱんっ ぱかぱっか ぱっぱかぱ〜ん テケリリー ジャッジャジャーン テケリリー ジャッジャジャーン ジャジャジャジャジャ〜〜〜〜ン!」っていう20世紀フォックスのオープニングファンファーレは聴けない訳 *2!?
えっどういうこと!?
正直どう反応していいのかわかんなかったんですよね。
更に、あのJ・J・エイブラムスが監督するらしいぞと。
ここで非常に悩んだんですよ。 J・J・エイブラムスといえば、歴史あるシリーズの続編を、ウルサいファンを唸らせつつ一般ウケするように撮ることに長けた監督じゃないですか。 だったら、そんなに悪くはならないかな、みたいな気がする訳です。 そもそも、元々は続く予定だったものを改めて創る訳で、まあ丸っ切り余計な事をしている訳でもなし。 J・Jの『スタートレック』は、私自身スタートレックは殆んど観たことなかったけど楽しめたし。
まあ、公開されるものを観てみない事には仕方ないだろう……という事で公開まで悶々と待つ日々を過していた、と。
そういう訳で、スターウォーズの基本形である三部作形式を踏襲して、今回を含めて三部構成で「フォースの覚醒」について語りつつ、スターウォーズに関する四方山話をしていきたいなと思っております。 待て次回!
三冠おめでとう!『王とサーカス』読書会!(執筆者:白樺)
あけましておめでとうございにゅーいやー。白樺香澄です。
「刑事コロンボvs日高屋」をほっぱらかして始めた「倒叙ミステリ七つの大罪スペシャル」がどう絞っても12個になってしまうのでまたもほっぱらかして幾星霜。
そんな中、1月9日にサークルで開催させて頂きました「三冠おめでとう!新春『王とサーカス』読書会」なのですが、ツイッター上などで「行きたかったけど行けなかった」「レジュメ見せて」と声を掛けて下さる方がいらっしゃったので、せっかくなのでこちらで公開いたします!(あくまでレジュメなので体裁は荒いですが……)
あ、こわい人に怒られたらすぐ消すよ!フランクに『王とサーカス』『氷菓』『さよなら妖精』『儚い羊たちの祝宴』『折れた竜骨』『満願』あたりのネタバレしてますのでご注意を!!
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2015年アイドル楽曲マイベスト20〈シングル編〉
前回に引き続き、今回は今年のアイドル楽曲マイベスト〈シングル編〉です。
一応縛りとして、2015年にシングルとしてリリースされたものの中から、前回の〈アルバム編〉に入れなかったアイドルの楽曲を20曲選び、独断と偏見でランキングにしてみました。
ご託はなしでさっさといきましょう。
続きを読む2015年アイドル楽曲マイベスト10〈アルバム編〉
クリスマスも終わり、今年も残すところあと5日ですね。
年の瀬になると、今年を振り返る的な意味で各所で様々な年間ベスト的なものが発表されるわけですが、小説に関するものだけでもランキング本が乱立していて、Twitterや個人ブログまで含めると到底チェックしきれません。
で、自分でも今年一年を振り返ってみようと思うんですけど、今回はいま書いておかないと触れずに終わってしまいそうな〈2015年楽曲・マイベスト〉……だと広すぎて絞りこめないので、〈2015年アイドル楽曲マイベスト10〉をやりたいと思います。
読んで字のごとく、今年アイドルが発表した楽曲で自分が聴いたものの中から、シングル10曲とアルバム10枚を独断で選び、今年の10曲、今年の10枚として紹介するというベタベタなやつです。
まずはアイドル楽曲〈アルバム編〉から。
続きを読む倒叙はじめて物語! ――2015年・新刊倒叙ミステリ勝手に反省会その1【白樺】
白樺香澄「えーと、きのこのラグースパゲティと半熟卵のミートソースボロニア風、たらこソースシシリー風にほうれん草のクリームスパゲティにキャベツのペペロンチーノ。あっ、全部大盛で。あーもう面倒くさいんでメニューのここからここまで全部お願いします」
一条薫「こんにちはっ。どなたか団体さんと待ち合わせですか?」
白樺「あらら、お久しぶりです。えっと、1年生の一条さん……だっけ」
一条「覚えててくれたんですね!後期クイーン座談会の一発キャラ扱い*1だったのに」
白樺「しかし、あんなことがあってよく帰って来れたね……」
一条「そこはそれ、後期クイーン的設定リブートが行われた事にして下さいよ。JJマックはもう居ないんですよ!」
白樺「まぁ良いけど……それで、今日はどうしたの?」
一条「白樺先輩、私に倒叙ミステリについて講義して下さいっ!」
白樺「また何なの、一体」
一条「私、サークルで友達とケンカしちゃって。その子、2015年の新刊ベストは倒叙もの短編集の『掟上今日子の挑戦状』だって言うんですよ。今年の一位はノーベル平和賞受賞待ったなしの名著『王とサーカス』に決まってるじゃないですか!」
白樺「う、うん……続けて。」
一条「倒叙ものなんて犯人が誰かって驚きもないし、話のバリエーションだって限られてくるし、ぶっちゃけ華がないじゃないですか。そんなのを一位に挙げるなんてどうかしてる、『王とサーカス』の深いメッセージ性が解らない奴は受精から人生やり直した方が良い、って裸に剥いて縛って天井から吊して4時間くらい問い詰めたらその子、泣いちゃって。……ちょっぴり悪いことしちゃったかなと思ったんで、彼女の気持ちを解ってあげたいんです」
白樺「え、何その全盛期の連合赤軍みたいなやつ。一条ちゃんってサイコパスなの?」
一条「ですから先輩! 倒叙ミステリの面白さを教えて欲しいんです!」
*1:ワセミス架空1年生の一条薫ちゃんについてはワセダミステリクラブの同人誌『みすてる7.0』収録「後期クイーンなんて怖くない」を要チェック!(現在入手困難)