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風狂奇談倶楽部の活動記録や雑考など

魔王ベリト閣下でもわかる『胎界主』読書会 番外編——読書会レジュメ

はじめに

独特の世界設定と入り組んだ伏線でカルト的な人気を誇る尾籠憲一(旧・鮒寿司)先生・作のWeb漫画『胎界主』。

三部構成のうち、現在は第二部が完結し、本編とは独立した短編が連載されています。

2020年連載開始予定の第三部を控え、新たな情報も出て来たこのタイミングで胎界主にチャレンジ!ということで、『風狂通信 Vol.5.5』に掲載した、特殊ルール本格ミステリとしての側面に光を当て、都内某所で開催された『胎界主』入門読書会記事数回に分け特別転載

連載目次

今回は読書会で用いたレジュメをほぼそのまま転載します。

第一回ではこのレジュメを基に若干順番を入れ換えた概説を、第二回では第1部第1話を、第三回で第19話と第12話を扱う予定です。

今回は第一回の内容と大きく被るところがありますが、相補的に用いて頂ければ幸いです。

  •  第一回 『胎界主』ってこんな話

  • 番外編 読書会レジュメ(今回)

  • 第二回 初見殺しの第1話「使い魔」を読もう

  • 第三回 第19話「絶対失敗神獣グレムリン」/第12話「運ぶ力」/おわりに

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魔王ベリト閣下でもわかる『胎界主』読書会 第二回——初見殺しの第1話「使い魔」を読もう

 はじめに

独特の世界設定と入り組んだ伏線でカルト的な人気を誇る尾籠憲一(旧・鮒寿司)先生・作のWeb漫画『胎界主』。

三部構成のうち、現在は第二部が完結し、本編とは独立した短編が連載されています。

2020年連載開始予定の第三部を控え、新たな情報も出て来たこのタイミングで胎界主にチャレンジ!ということで、『風狂通信 Vol.5.5』に掲載した、特殊ルール本格ミステリとしての側面に光を当て、都内某所で開催された『胎界主』入門読書会記事数回に分け特別転載

連載目次

基本的には、今回は第1部第1話を、第三回で第19話と第12話を扱う予定です。前回は『胎界主』の全体の概観を与える概説でしたが、番外編として、読書会の際に用いたレジュメも公開予定!第一回の内容と大きく被るところがありますが、時系列はレジュメの方がハッキリしているので、合わせてお読み下さい。

  •  第一回 『胎界主』ってこんな話

  • 番外編 読書会レジュメ(適宜御参照の事)

  • 第二回 第1部第1話「使い魔」(今回)
  • 第三回 第19話「絶対失敗神獣グレムリン」/第12話「運ぶ力」/おわりに
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魔王ベリト閣下でもわかる『胎界主』読書会 第一回——『胎界主』ってこんな話

はじめに

独特の世界設定と入り組んだ伏線でカルト的な人気を誇る尾籠憲一(旧・鮒寿司)先生・作のWeb漫画『胎界主』。

三部構成のうち、現在は第二部が完結し、本編とは独立した短編が連載されています。

そんな中、先週 Pixiv Fanbox では、遂に支援者向けに第三部の全体構成が公開され、ファンの間で(先生の生活ぶりもあいまって)大いに話題になりました。

そんな2020年連載開始予定の第三部を控え、新たな情報も出て来たこのタイミング。

本記事では、『風狂通信 Vol.5.5』に掲載した、特殊ルール本格ミステリとしての側面に光を当て、都内某所で開催された『胎界主』入門読書会記事数回に分けて特別転載

『胎界主』はこれから、あるいは読もうとして挫折してしまった、というあなたも、是非本記事を片手にチャレンジして、第三部に万全の体制で臨みましょう! 

連載目次

基本的には、今回は『胎界主』の全体の概観を与える概説になり、第二回で第1部第1話を、第三回で第19話と第12話を扱う予定です。また、番外編として、読書会の際に用いたレジュメも公開予定!第一回の内容と大きく被るところがありますが、時系列はレジュメの方がハッキリしているので、第一回と合わせてお読み下さい。

  • 第一回 『胎界主』ってこんな話(今回)
  • 番外編 読書会レジュメ(適宜御参照ください)

     

  • 第二回 初見殺しの第1話「使い魔」を読もう

  • 第三回 第19話「絶対失敗神獣グレムリン」/第12話「運ぶ力」/おわりに
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「華文推理作家の出来るまで」陸秋槎氏トークショーレポート【補完版】

「ミステリが読みたい!」海外編五位をはじめ、各誌ランキングを賑わせた話題作『元年春之祭』。作者の陸秋槎氏を招いてワセダミステリ・クラブ風狂奇談倶楽部が18年12月21日に開催したトークショーイベントでは、作家としての自身と『元年春之祭』のルーツとなった作品たちへの思いが語られた。(聞き手=稲村文吾/文・構成=白樺香澄)

 

※本稿は、『ハヤカワミステリマガジン』19年3月号「華文ミステリ特集」に掲載された同イベントのレポートの加筆・補完版です。

 

■アニメ・ゲームで知った日本ミステリ

――陸さんが初めて触れた日本の文学作品はなんでしたか?

陸 原田康子先生の『挽歌』だと思います。小学六年生の時、クラスメイトの文学少女がお勧めだと言って貸してくれたのですが、読んでみると十代の少女が妻帯者の中年男性と不倫関係に陥って、その奥さんが自殺するという凄い話で……、どうしてあの子が勧めてくれたのか分からない(笑)。親御さんの本を片端から読んでいるという子だったので、偶然読んだのでしょうね。

――小学生で不倫の話ですか(笑)。小さい頃から本を読むのは好きだったんですか?

 本を読むようになったのは、その友達の影響が大きかったですね。今思えば、あの子のことが好きだったんでしょうね。学年が上がるにつれて、あまり交流はなくなってしまったのですが。
 子供の頃に、ほかに日本文学に触れた経験というと、テレビで観た映画を通じて知った作家があります。川端康成の『伊豆の踊子』、谷崎潤一郎の『春琴抄』、松本清張の『霧の旗』といった作品は映画の印象が強いですね。私が観た映画版には、いずれも山口百恵さんが出演していました。

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問題編だけ公開!「犯人当て朗読劇『降霊館の殺人』」

いよいよ25日は文学フリマ東京ですね!白樺香澄です。

私たち風狂奇談倶楽部のブースは2階Fホール・キ-34。新刊『風狂通信vol.5.5』には、今年9月に上演された、作・白樺香澄の犯人当て小説を戯曲化し、彩菱実唯(いろびし・みい)が主演に立った朗読劇『降霊館の殺人~フランチェスカ毒水の事件簿~』のシナリオを採録しています。彩菱実唯(「私」役)・白樺香澄(フランチェスカ毒水役)の、風狂奇談倶楽部が誇る二大美少女が共演した舞台ですので、2人の知り合いの方はぜひ顔を思い浮かべながら読んで頂けたらと思います。

みんなに新刊買って欲しいので、今回はその「問題編だけを」先行無料公開!

はい。答え合わせしたかったら買ってくれよな!!!ってことです。ぜひぜひ謎解きに挑戦してみて下さい。ちなみに、上演時の正答率は10パーセント以下でした。

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推理クイズ小説『死者の晩餐会』答え合わせ!

さてさてクリスマスも終わったので解答編です。

 

風狂奇談倶楽部の部室こと山手線T駅そばの牛角にて。

 

一条薫「……なんですか、コレ」

白樺香澄「推理クイズ小説じゃない」

一条「いやいやいや、最後の『何を当てさせることを目的とした推理クイズでしょう?』ってなんなんですか。なんで問題が問題になってるんですか」

白樺「うーん、ポストモダン?」

一条「解りもしないくせに言いやがって……で、犯人は解ってる訳じゃないですか。倒叙ものだから。ってことは犯人特定の『詰め手』を当てろってことですかね?でも、だとしたらイージーすぎません?」

白樺「何が?」

一条「黄川田が『事件発生当時、現場である書斎にいた』証拠がショボいな、って言ってるんですよ。どうせ『ウォークインクローゼットの扉がきちんと閉まらないのを知っていた』ことが詰め手になるんでしょ?」

白樺「どういうこと?」

一条「問題は『いつ、どうしてウォークインクローゼットが閉まらなくなったか』ですよ。わざとらしい伏線でしたね、『今朝がたの地震』。クローゼットの扉は、地震によって家の建て付けにゆがみが生じたことで閉まらなくなった。つまり、クローゼットの扉が『立て付けが悪くて閉まらない』ことを知っているのは、今日、招待客として久堂邸にやって来た後で書斎に入った人間だけ。それが動かぬ証拠になるんでしょ?」

白樺「え、待って待って。いや、詰め手はそれで良いよ。でも……黄川田って何?犯人は黄川田なの?」

一条「………え?」

 

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推理クイズ小説『死者の晩餐会』

というわけで推理クイズ小説本編です。

『死者の晩餐会』

 

 黄川田智(きかわだ・とも)は、書斎の床に仰向けに倒れた久堂汀青(くどう・ていせい)の死体を見下ろしていた。

 久堂の首を絞めた時の感触が両手に戻ってくる。

 死体の首に深く食い込んでいるスカーフは、黄川田のものだった。昨年、久堂の還暦の祝いで特注した、赤い綾織りのスカーフ。今夜、この久堂邸に招待されている「久堂汀青を囲む会」のメンバー全員が所持しているので、死体に残った凶器の痕跡から即座に犯人が特定されることはないはずだ。

 黄川田は久堂の命を奪ったスカーフを死体から取り除いてスラックスのポケットにしまい、それから書斎を見渡した。デスクの上に置いた携帯電話を見つけ、手に取る。携帯にロックはかかっていない。

 黄川田は自身の携帯から、久堂のアドレスから送信された「話があるから会が始まる前に1人で書斎まで来い」という旨のメールを削除し、久堂の携帯の送信履歴からも消した。無論、警察が黄川田に目を付け、通信会社の履歴を当たればすぐに無意味になる工作ではある。

 投資にしくじって膨れあがった借金を穴埋めするため、近々、香港のコングロマリットから買収を受けると酒の席で聞いていた業務提携先の株を買った。弁明しようのないインサイダー取引。彼は全てを調べ上げていた。さすが、探偵小説家からノンフィクションライターに転向し、企業スキャンダルをいくつも暴いてきた剛腕だ。全てを明るみに出すと言われては、殺す他なかった。

 黄川田は「クソ……」と一言だけ呟き、書斎を出た。

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